【7942】(株)JSP_2021年3月期・株主優待&本の紹介『ブラッカムの爆撃機』

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こんにちは、まーなです。
今日は【7942】(株)JSPの2021年3月期の株主優待の紹介です。よろしくお願いします!

さっくり企業情報

東京都千代田区に本社を置く発泡プラスチックの製造・販売を行う、日本の化学メーカー。三菱ガス化学の連結子会社。発泡プラスチック製造の国内大手で、自動車の軽量化部材にはじまり、高機能断熱材、食品容器素材、各種緩衝材、建築土木用資材など、幅広い分野に高機能プラスチック製品を製造している。

株主優待情報

基本情報

株主優待の概要(2021年3月末)

権利確定月3月末日(年1回)
単元株100株
長期保有優遇なし
備考社会貢献寄付金付オリジナルQUOカード

株主優待の内容(年月末)

保有数条件優待内容
100株以上QUOカード(3,000円分)

実際に届いたもの

QUOカード3,000円分が届きました!高額なのはテンション上がりますね。

1枚あたり10円が緑の募金へ寄付されるタイプのQUOカードでした。

外部リンク:緑の募金への寄付金付き「おもいやり」QUOカード

QUOカードを使えるお店のまとめは こちら(2021年7月現在)

QUOカードは幅広い書店で使えるのがいいですよね!
今回は夏休みに入ったということで、読書感想文に使えそうな本『ブラッカムの爆撃機』を紹介します。

『 ブラッカムの爆撃機 』とは?

1929年にに生まれた現代イギリス児童文学を代表する作家ロバート・ウェストールが1982~1989年に発表した短編を収めた本。第二次世界大戦を舞台にした「ブラッカムの爆撃機」「チャス・マッギルの幽霊」と自伝エッセイ風の「ぼくを作ったもの」、そして宮崎駿の漫画「ウェストール幻想 タインマスへの旅」が収録されている。ウェストールは『真実はそのまま、決して観念的な低温殺菌などせずに、子どもたちに伝えるべき(222P)』といった信念を持ち、暴力や差別に関して配慮を求める声には反応せず、一貫して、作家としてフィクションを通じて真実を伝えることにこだわりを持っている。

なお、 宮崎駿 が描いた漫画「ウェストール幻想 タインマスへの旅」の後編では、宮崎駿が豚のキャラクター、ウェストールが犬のキャラクターとして語らいをしているが、『「ウェストール幻想 タインマスへの旅」は、生前にウェストール氏にお会いしたことがない宮崎駿監督が、氏へのオマージュを込めて描いたものです(スタジオジブリ出版部)(奥付より引用)』とある通り、すべて宮崎駿の空想となっている。

こんな人におすすめしたい
  • 宮崎駿監督の大ファン
  • イギリスの第二次世界大戦の空気を知りたい
  • 『君の名は』のような物語が好き

『 ブラッカムの爆撃機 』の感想

収録されている三篇に共通しているのは、あったかもしれない、というファンタジー。その間には、おそらく著者が誰かから聞いたのだろう戦場の様子が、児童小説らしい平坦な文章で描かれています。平坦だからこそ、情景が頭の中に描きやすく、登場人物たちのやり取りは不快感とともに、わかりやすくリアリティに満ちた非現実世界を感じさせられます。

ブラッカムの爆撃機」は完全にホラー小説で、どの国でもこんな感じのホラーは生まれるんだなぁという感じです。途中のクルーたちの連帯感は軽妙で生き生きとしていて、最初に見開き二ページで描かれている飛行機マニア宮崎駿の「主人公ゲアリーの乗る(ウィンピー)C号機」の構造図を振り返りながら読むと、想像力を強く補足してくれます。

どちらかといえば、「チャス・マッギルの幽霊」のほうが好きです。こちらも最初はホラーのような様相ですが、あったらいいなと思えるような、小さな奇跡のお話です。途中に出てくる脱走兵の口から語られる戦場のコミカルな狂気に、脱走兵の哀愁が漂います。最後の最後で起きた小さな歴史の変化は、ぜひ実際のページを開いて見てみてほしいです。もしかすればあるかもしれないその後の邂逅を妄想すると、トキメキが止まらないです。

最後の自伝エッセイ風「ぼくを作ったもの」は、戦争を経験した『祖父』と戦後しか経験していない『僕』が、祖父の骨董品を通じて語り合う話です。例えばそれは、モレタニア号の蛇口であったり、ある街で初めて映画を映した映写機のレンズであったり……そんな古いものに囲まれて、一つ一つの物語を丁寧に覚えているその『祖父』の姿には、ちょっと憧れます。実際にウェストールは骨董品店を開いているので、もしかしたら本当にウェストール少年とその祖父には、描かれているような語らいがあったのかもしれません。

そしてなんといっても注目は、ジブリの監督の宮崎駿によるカラー描き下ろし漫画『タインマスへの旅(前編&後編)』で、本当に楽しんで漫画を書いたのだろうなというのが伝わってきます。小説を読むのが億劫でも、ここだけのために買うのも価値あり、と私は思います。

真実を歪めないラインのフィクションを通じて、子供のために真実をそのままに伝えるところが、著者であるウェストールと編者である宮崎駿の共通点と思われます。色々なもの、例えばマイノリティであったり差別であったりへの配慮が求められる昨今ですが、真実を曲げることを嫌って、暴力や下品な表現をそのままに文章にしたためたウェストールに、アニメーションだからといって安易な子供向けに走らない宮崎駿はシンパシーを感じて、幻想漫画を描いたのではないでしょうか。

心に響いたページ

もし世界にはもっとほかの場所があるってことを忘れていられれば地獄だってたえられる。だが国に戻ってきて、そこにはまだ天国があるとわかると……もう地獄にもどる気にはなれない

『ブラッカムの爆撃機』収録『チャス・マッギルの幽霊』 166ページ

「壁壕で何をしてたの?戦いじゃないとき」
「よくきいてくれたな」祖父は錆だらけの鉄のヘルメットを取り出した。「てっぺんに小さな穴開いているだろう?」
「弾の跡?」
祖父が笑った。本当に笑ったんだ。
「いやいや、ねじ穴だ。そこのねじを抜いて、裏から釘を突っこんで、ろうそくを差す。そして火をつけて、その光の下でトランプをやるんだ。ほら、溶けたろうがいまでも少し残っている。わしはトランプがうまかった。そうそう、手札三枚でやるブラッグというゲームがあって、これはすぐに勝負がつくから、途中で戦闘が始まっても困らない。わしは連戦連勝、大もうけだった。仲間はおおぜい、いまでもわしに借りがある。が、みんな死んでしまった。それで、代わりに連中の持ち物をちょっといただいておいたんだ。

『ブラッカムの爆撃機』収録 『ぼくを作ったもの』 197ページ

彼はこうも書いている。「歴史を好き勝手に書きかえてはいけない。わたしのもとへは、人種差別的、性差別的な表現を控えるようにという要望が強く寄せられるが、真実を描いてほしいという要望はもっと強い。自分たちがどこまできたかを知りたいなら、振り返って、かつてほんとうはどこにいたのかを、見きわめるしかないではないか」

『ブラッカムの爆撃機』収録 『ロバート・ウェストールの生涯』 222ページ

各話あらすじ

『ブラッカムの爆撃機』

イギリス軍の飛行機無線士ゲアリーは、ある日のドイツの夜間爆撃の帰り、嫌われ者のブラッカム隊と一緒になってしまった。運良くか悪くか、その日は無線機の調子がよかったため、インターカムでは他機と交信ができていた。途中、ブラッカム隊に接近するドイツのユンカース爆撃機を発見し、ブラッカム隊に警戒を促す。混戦の末、撃ち落とされたのはユンカース爆撃機のほうで、インターカムはそのユンカース爆撃機の無線の音まで拾ってしまう。ゆっくりと火に包まれ、脱出ができずに墜落していくユンカース爆撃機。そしてそれを見て大喜びしているブラッカム隊。絶望と歓喜の両方の声を聴きながら、無事に基地までたどり着いたタウンゼント隊とブラッカム隊だったが、その日からブラッカムの機体で出撃をすると、奇妙なことが起きるようになった……。

『チャス・マッギルの幽霊』

第二次世界大戦中のイギリス。少年チャス・マッギルは、疎開先の屋敷で、夜中に口笛を耳にする。口笛だけでなく、ベッドの軋む音や蝋燭の光、そしてため息も……誰も信じてくれないが、誰かがいることを確信したチャスは、秘密の空間を探り当て壁を壊す。壁の穴を抜けた先にいたのは、脱走兵だった。彼は前線から逃げ、この部屋に匿われているのだと語る。しかし彼が語った戦線は、イギリス兵などいない場所だった。そして朝になると彼の姿は、部屋から忽然と消えてしまう。夜中だけの密やかな邂逅は、ある小さな歴史を変えるのだった。

『ぼくを作ったもの』

第一次世界大戦を経て未だ心は戦場にある『祖父』と、戦後しか経験していない『僕』。偏屈な祖父を苦手としていた僕だったが、祖父が持ち出してきた箱に興味を持つ。箱の中に詰まっていたのはガラクタと言って相違ないものばかりだったが、その一つ一つにはたしかに物語があった。あらゆるものには物語があり、あらゆる傷にも物語がある。そう教えた『祖父』が、『僕』を作った。

詳細情報

  • 本の名前:ブラッカムの爆撃機 チャス・マッギルの幽霊 ぼくを作ったもの
  • 著者:ロバート・ウェストール (作),宮崎 駿 (編),金原 瑞人 (訳)
  • 出版社:岩波書店
  • 出版日:2006/10/5
  • ISBN:4-00-024632-1
  • 価格:1,760円

各章の概要 読んでよかった章には★がついてます。

  • タインマスへの旅(前編) ★
  • ブラッカムの爆撃機
  • チャス・マッギルの幽霊 ★
  • ぼくを作ったもの
  • タインマスへの旅(後編)
  • ロバート・ウェストールの生涯
ロバート・ウェストール (作),宮崎 駿 (編),金原 瑞人 (訳)

最後までお読み頂きありがとうございます

この記事を書いた人
ズボラも極めれば合理的!がモットーのアラサー1児のママです。育児休業から復帰したものの、リタイアしてゆるゆる主婦してます。自分が感じた「これはいい!」を共有していきたいです。
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